退院と入所

36日に及ぶ入院からようやく退院。そして新しい老人ホームに入所。母の新しい生活が始まった。グループホーム時代のM田さんが病院まで来て母を見送ってくれた。
母は新しい部屋に入って戸惑った様子だったが、部屋にあるトイレを見て「これはいいね」と喜んだ。ところが、少し過ぎて尿意を催したらしく「トイレはどこ?」と部屋から出たい様子。「トイレはここよ」とおしえると「あらぁ、部屋にあるの」と目の前にあるトイレを見て驚いていた(^^ゞだいじょうぶかな。
すぐに昼食の時間だったので、職員さんに母を託して、連れ合いと私は近くの店に食べに行った。食事が済んで再度ホームに戻り、改めてケアマネさんと入所の書類などを読み合わせた。その間連れ合いが「昼食の様子を見てくるよ」と席を立った。ずいぶん長い時間戻って来ないのでどうしたかと思ったら、母を車いすに乗せてただならぬ様子で戻ってきた。母は食事が終わって部屋にいたのだという。連れ合いが入って行ったらすごい剣幕で怒っていて、ひどい状態だったという。後で聞いたら連れ合いに「こんなところに入れやがって」みたいな暴言まではいたとか。昼食の時の何かが気に障って怒っていたらしい。車椅子で私たちのところに戻ってからもいつもとは違う顔つきだ。まだ記名や押印がのこっていて時間がかかりそうなので、連れ合いが「部屋に戻りましょうか」と車椅子に触ろうとしたら「触らないでよあんたなんか」と強い拒否。一体どうしたんだろう。連れ合いは顔を赤くして怒りをこらえている。いつもは連れ合いに遠慮して「いつもすみませんね、迷惑掛けて」と低姿勢なのに???
そのままケアマネさんとの話を続けていると「トイレに行きたい」というので、ケアマネさんが職員を呼んでくれたが、なかなか来ない。母は「自分で行ける」と言うが「トイレがどこにあるか知ってるの?」と聞くと「知ってるわよ、あっちでしょ?」と廊下を指さすので、「違うよ、部屋は3階だからね」と言うと、眉間にしわを寄せて怪訝な顔。なので私が連れていくことになったのだが、初日から嵐が来そうな様子にドキドキだ。部屋に行くと職員さんが代わってくれたので、そのままケアマネさんのもとに戻って残りの打ち合わせを終えた。
簡易保険の入院保険金をもらうため、母に委任状を書いてもらわねばならないので、部屋に行った。その時には、母はいつもの様子に戻っており、一字一字見本を書いて住所や名前を書いてもらった。とても字とは言えないような部分もあるが仕方がない。母の委任状がなければ郵便局に提出できないのだから。疲れたという母をベッドに寝かせて、ようやく私たちは自宅へ戻った。

いやぁ今日は疲れた。連れ合いも今日はショックが大きかったようで、私の冗談にも「今日は付き合う気がしないよ」と苦笑いだ。

長い入院生活からは解放されたが、帰ったところは見たこともない場所なわけだから、戸惑うのは仕方がない。それにしても連れ合いに暴言を吐くほど豹変するとは思わなかった。

認知症とはなんとも酷い病気だ。
あっという間に母のポケットはトイレットペーパーで満杯になっている。退院する時ごみ箱がいっぱいになるほど、引き出しとパジャマのポケットの中のペーパーを処分してきたばかりなのに。
この先どうなるかと心配したところで仕方がない。新しい老人ホームで暮らしてもらうしかないのだ。

今日で一段落と思ったのもつかの間、私の腰が悲鳴を上げた。予兆はあったのだ。しばらく苦しむことになる(*_*)はぁ。。。